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釈徹宗 先生の 『不干斎ハビアン』を読んだ


ハビアン
 釈徹宗先生は、浄土真宗のお坊さんであり、大学教授で、今、日本の宗教界が注目する気鋭の宗教学者さんです。
 兵庫大学に勤めてらっしゃる時に、たまたま私は大学の公開講座を受けて、知り合いました。ちょうど『笑とる仏』を創っている時です。
 
 釈先生の授業は、とにかく面白いです! 知識は勿論ですが、授業にハートがあります!ハートが伝わる授業をされる方はなかなかおられません。
 私は釈先生の授業を聞きながら、「この人なら、私の作品を絶対解ってくれる!」と当時、直感したものです。
 授業が終わると、何度か、先生のところへ質問にも行きました。
 解らないことは、解らないと言ってくれ、別の教授を紹介してくれたりと、とても親切な方でした!

 『笑とる仏』が完成した時は、釈先生にも、少し教えを乞うたので、献本してみると、丁寧な手紙が届き、

「感服いたしました!写真も文章もスバラシイです!折りをみて何度も見かえさせていただきます。」 

と、すごいお褒めのお手紙をいただき、とてもうれしかったものです。 直感通りでした。

 『笑とる仏』で引用した言葉の「真意」まで深く理解していらっしゃる、数少ない読者だと私は、思っています。
 (『笑とる仏』は大徳寺の住職、山田宗正さんも、作品を見て一瞬で見抜いたとおり、その道を極めたお坊様からは非常にウケは良い作品となっています。わかる人にはすぐわかるんですよ。)

 
 4月頃だったでしょうか?NHKの『こころの時代』に出演しておられ、そのインタビューも非常に興味深いものでした。
 私が特に「この人すごいなー」と思ったところは、お寺で老人ホームを運営されていることでした。 
 どうしても、宗教者や宗教学者という人は、机上で論を展開しているだけになりがちですが、ちゃんと宗教者として現実社会に対し「実践」されておられるところに、非常に感動した次第です。

 気付けば、釈先生の本は全然読んでいないことに気付いたので、『不干斎ハビアン』を読んでみました。
 室町、江戸時代に禅僧からキリシタンになり、最後にはキリスト教をも捨てた人、不干斎ハビアン、の紹介です。

 読んでみると、ハビアンの宗教論は、基本的に知識が先行してハートが見えてこない箇所が多々あるので、「ハビアンの人と成り」としては私はちょっとキライなタイプの人物なのですが、当時、今ほど全然情報量の無い中で、確かにすごい比較宗教論を展開した人なんだなと思いました。

 アマゾンの書評等では「現代宗教との関わりの説明は要らないのではないか」とか書いてありますが、私はこの現代宗教との関わりの説明があってこその本だと思います!
 こんな書評の人が「ベストレビュアー」とかになっちゃって4つ星入れて1番上になっているところが、アマゾンの罪なところですよね…。以前、鈴木大拙の本を、「時代遅れ」なんて書いているアホな「ベストレビュアー」が居て、「あんたは何様??あんたに、禅や大拙の何がわかるんじゃーボケ!」と言いたくなるくらいの心境になったことを思いだしますヨ。笑。
 まぁ、どこにでも居ますよね、何にも知らないのにエラソウに言いたがるヤカラ。

 現代に照らし合わせての考察がないと、読んでみて、この世に役に立ちませんし、歴史をひも解く意味もありませんから。宗教学者として、そこは語らないとね。変なレビュアーが書くよう、ちょっと筆致は頼りない印象を受けるかもしれないが、それはむしろ作者の学問に対する誠実さの現れで、本書の本質的部分は、ここに書かれています。そしてもっと大事なことは、こうしたテーマはなかなか理論では語れないということです。

 この本でやっぱり注目すべきところは、キリスト教さえ捨てたハビアンの心境でしょう。
 宗教も突き詰めると、宗派なんてあまり関係なくなると、私は思っています。この辺のところは、私の大好きなジョーゼフ・キャンベルの著書を読めばよく解るかもしれません。

 ちょっとだけ驚いたことに、『不干斎ハビアン』で釈先生が、引用、注目している人物が、『笑とる仏』と結構重なっている点がうれしかったですね。
 例えば、鈴木大拙、親鸞、教信、石田梅岩、鈴木正三、白隠、空海、趙州、道元など。
 あと、『ハビアン』に紹介してある、遠藤周作の『沈黙』はキリスト教と対峙した作品として、やはり興味深い本ですね。私は中学生の時に読んで、いまだに忘れることのできない作品です。このブログにも何度か書いた記憶が…。

 キリスト教を捨てたハビアンの心境というのは、実際のところは解りませんが、ジョーゼフ・キャンベルさんの生き方や信条と照らし合わせると、こうした境地でありたいと私の場合は思うのでありました。本書ではその例として宗教学者の岸本英夫さんなどを紹介してあります。

 現代のような時代、宗教は、非常に難しい立場にあると思います。
 そうした時代の中で、ハビアンの生き方が、一つの参考になるというのが釈先生の一つの視点です。
 宗教は人間存在、根本のもので、釈先生が引用しておられる、内田樹さんの

「真に知的であろうとすれば、人間は宗教的にならざるをえない。」

という言葉は当たっていると思います。矛盾するようですが、文面どおり必ずしも知的である必要もありませんけどね。例えば『笑とる仏』でも紹介している真宗の妙好人など。

 最後に釈先生の本書にある、いい言葉を御紹介。釈先生は優しい表情と、優しい会話の中で、いつも気負いせず、ポロッと本質的な事を語られるところが好きです。

 「ただ、仏道を歩む者として語るならば、宗教には「自分というもの」がボキッと折れるプロセスを経過しなければ見えてこない領域があることを付言したい。その部分に関しては、仏教もキリスト教も同様である。これまで編み上げてきた「自分というもの」がくずれおちるからこそ、人格や価値観の再構築が成立するのである。自分の都合や、枠組みや、これまで編み上げてきた自我、それらが大きく転換する体験なしには宗教の醍醐味を味わうことはできないのである。これを禅では「大死一番」と言い、浄土仏教では「前念命終、後念即生」と言い、宗教学では「回心体験」と言う。」

 こうした言葉は、やはり体験者、現役宗教者ならではという感じがいたします。
 史実には残っておらず知る由もありませんが、ハビアンにもきっとこんな瞬間があったのかもしれません。
 「ボキッと折れるプロセス」というところ、私自身にも少し実感があります。
 先の遠藤周作さんの『沈黙』もまさに「ボキッと折れる瞬間」でしょう…。

 私は高校生の頃、ニーチェを愛読していましたが、彼は、人間の位を、「侏儒」や「高人」「超人」などと表現していましたが、釈先生は、間違いなく「高人」「超人」レベルの御仁であられます。
(そう言えば、去年、妙にニーチェがはやりましたよね。あの意訳の仕方はあまり感心しませんけどね。ちなみにニーチェはおもいっきりアンチ・キリストです。みんな宗教と対峙しているんですね。)
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笑とる仏
『笑とる仏ー播磨の石棺仏を中心にー』   谷村新司さん推薦!    播磨の珍しい石棺仏を中心に、素朴な笑顔の石仏の写真集。700年近くもやさしく微笑み続けている石仏達を、さまざまな仏教名言と共に紹介する。この深い笑みはきっと心に響くと思います。巻末には地図もありますので、実際、仏様に会いに行くこともできます。勿論、関西限定書ではなく全国に通じる心の本です。 実質、私の4冊目の写真集。(読み:ワロトルホトケ)
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「Talking with Angels-ロンドンの天使達-」 
鏡リュウジ氏の推薦文より
『天使、天使、天使!
この世界は、耳をすませれば天使の羽音に満ち満ちていて、うるさいくらい。たとえ一人でいたって、僕たちは孤独になんかなれっこないのです。この写真集はそのことを伝えてくれます。』 
 

Talking with Angels-イタリアの天使達
「Talking with Angels-イタリアの天使達」
   イタリア19世紀のみごとな墓地彫刻の写真集。
ダンテの『神曲』にならい「地獄」「煉獄」「天国」を彫刻を介し視覚で巡ることができる、美しい天使の本。
プロフィール

岩谷薫

Author:岩谷薫
カメラマン
1995 個展『身体感覚』
1998 個展『Angels of Brompton-祈りのすがた』
2005 写真集『Talking with Angelsーロンドンの天使達ー』
2006 写真集『Talking with Angelsーイタリアの天使達ー』
2008年 スピリチュアル雑誌『Sundari 』記事執筆
『yaso ヴィクトリアン』studio parabolica記事執筆
2009 デジタル印刷すらできない悪質出版社に捕まり、三冊目の天使の写真集が出版不能に。入校データまで全て完成している状態ですので、もし第三集の出版を御検討していただける出版社がございましたら、メールフォームからお気軽にメールしてみてください。第三集は最高傑作なのですが…。
2011 写真集『笑とる仏』実質、4作目の写真集。

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