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帰還の失敗

『Talking with Angels』西洋墓地の天使像 : 岩谷薫-09.02.16 去年の4月10日の記事に「異界へ往って何かビジョンを持って還ってくる難しさ」を記しましたが、やはり私も帰還に失敗してしまいました。

 実は、先月1月末日をもって私は東京を撤退し、現在、実家に舞い戻っています。東京は、17年間もフリーカメラマンとしてがんばってきた場ですので、かなり辛く屈辱的な選択でした…。なかなか更新できなかった事情はそうしたことでした。更新を待っていただいた方々、すみませんでした。
 この選択をとった最大の原因は、昨年のクリスマスまでに私の写真集を出版できなかった出版社(後年追記:青幻舎、非常に悪質な出版社!)の責任が大きいです。私はこの出版をもって収支計画をしていたので、とうとう撤退を余儀なくされました。それほどまでに写真集を出版するということはエネルギーを消耗することなんです。
 昨年11月13日以降の記事から、その苦しみは記しています。当時は内容をボカして書いていましたが、真相をお伝えすると、ビジュアル書を多く出している出版社にもかかわらず、このデジタル全盛の時代に、デジタル写真データが、全然まともに印刷できない、時代の流れにまったく同乗できないダメ出版社だからでした。
 デジタル印刷の知識と経験が無いのなら、素直にそれを認め謝罪してくれれば、私は許す度量を持っているのですが、自分達が間違っていることすら気付いていない知識と経験の無さでしたので言葉が通じず、謝罪はおろか私の写真データが悪いと逆ギレしてくる、最悪な始末。その絶望と苦しみ、諦観は昨年の12月7日の記事に記しました。
 仕方がないので、私の知り合いで信頼のできる印刷会社さんにきれいにテスト印刷したものを、証拠として出版社に送り付けると、未だに出版社側からの謝罪すらありません。失礼千万で人として成っていません。
 しかし、悲しい事にこんな経験は、全然初めてじゃないのです…。世の中、こんなイイカゲンな出版社が多いのが実情です…。しっかりした印刷知識も経験もなくプライドだけが高い素人編集者達のありがちな言い訳は「それでも、私は、あなたのために、精一杯がんばりましたよ!」とか、胸を張られて言われるのですが、一生懸命がんばったのなら、なんでも許される訳ではありません。そこを全くはき違えています。しかも、一生懸命がんばる力の入れどころすら気づかず誤っています。
 例えば、私が知識も経験もない「にわか外科医」になり、患者さんを手術で殺してしまっても、「それでも、私はがんばりましたよ!」と遺族に逆切れの主張をしているようなナンセンスな状況と全く同じことに気付いていません。
 各分野でのプロフェッショナルとしての基礎知識があった上での、「作品をあずかった責任」「請け負った責任」「店を開いた責任」さらには、間違った場合は素直に「謝罪する責任」があるはずです。虚しいことですがそれは、昨年の11月13日の記事にも記しました。
 手術を喩えとしましたが、作家にとって作品は時に、命の次に、または同等に大切な事であることにも、彼らは当然気付いていません。それに気付き、人としての誠実さを持っていればもっと早い時点でプロらしい仕事が出来たはずです。私はこの作品に、写真家生命を賭けてしまっていたので、結果、実家に帰らざるを得なくなりました。ヒドイ話です。
 
 でも世の中、こんなやからが多いのも事実です。殊、作品出版に関しては、こんな人間の不勉強、無神経、悪意によって私は精神的にも財政的にも傷付けられ、1度や2度なら持久力でなんとか耐え忍べましたが、3度目ともなると、とうとう力尽き、人生まで変えられました。多大な罪です。まさに誠実に仕事をしている「正直ものがバカを見る」薄汚れた世界でした。

 はじめに「帰還の失敗」と書きましたが、ついこないだまで東京に居たので、未だに私が今、実家に居る事が不思議でなりません。それはまるで、浦島太郎やリップ・ヴァン・ウィンクルが異界から還って来て、今までの世界が激変してしまった事と同じです。しかも私の親戚のおじさんやおばさんも、知らぬ間に歳をとり随分、変わってしまっているじゃありませんか!そこまで浦島太郎やリップ・ヴァン・ウィンクルと似ています。あの物語はそういうことも伝えているのです。
 シャーマンは実は命がけです。そしてこの種の人達は本来、社会的にはとても弱い立場の人間が多いのです…何故なら、異界へ行くことしかできない超純粋で不器用な人なのに、むしろそれしか出来ない人なのに、プロとして正当にサポートできる人間がまったく居なかったために私の場合は帰還に失敗してしまいました。作品を創っている時は間違いなく必死なのです…

 でも、今の不景気とも相まって、選択肢はありませんでした。過去を振り返って見ても選択肢はほとんど無かったように思います。それはカメラマンになったことでさえそうです。
 以前、何かの番組で、慈善活動で生き神様と崇められるインドのある大富豪を紹介していましたが、その老人が言うには「人生の9割は天運です」と言っていたことがとても印象的でした。これはなにも、運を天にまかせて、棚からぼた餅的に大富豪になったという意味でなく、一生懸命生きて、その状況下で、その時点時点で出来得る限りの判断をし最善の努力をすると、後は運を天にまかせるしかなく、振り返ってみると選択肢なんてほとんど無かったことに気付くものだと、私はとらえています。(まさか印刷が出来ない出版社だったなんて当時、想像できませんしね) 
 一時期、占いの四柱推命等の勉強もしたことがありますが、あれを見るかぎり人の一生というのは、おおよそのところでほぼ決まっていると私は感じています。
 その運勢の流れの中で、東京撤退というのは、抗し難いものがあったのではとさえ思います。ただ、その原因が他人の不勉強による非常に拙いミスや無神経の集積だったことが非常に悔やまれますが…しかしそれも含め、私の運の流れ。仕方なしです。

 写真集に関しては、あともう一歩のところなので、出来得るだけはがんばってみるつもりです。
 「堪え難きを堪え、忍び難きを忍び」「成らぬ堪忍、するが堪忍」や「赦した自分を赦すのです」という言葉が実に重くのしかかってきます… 選択肢がないのです… それはそれでかなり悲しく辛い現実です…

 ただ、私はもう次のビジョンを持っています。東京存続が、金銭だけの問題なら、貸してあげようと自ら名乗り出てくれる奇特な方もおられましたし、あるいはなりふりかまわずバイトをしてでも居れたのでしょうが、心のどこかで、そこまでして東京に居たいとは思えなかったからだと思います。私の想像よりも数年、東京撤退が早まってしまい、去った事実はとても屈辱的で残念でしたが…
 写真は、イタリア、ジェノヴァの空。

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写真集
笑とる仏
『笑とる仏ー播磨の石棺仏を中心にー』   谷村新司さん推薦!    播磨の珍しい石棺仏を中心に、素朴な笑顔の石仏の写真集。700年近くもやさしく微笑み続けている石仏達を、さまざまな仏教名言と共に紹介する。この深い笑みはきっと心に響くと思います。巻末には地図もありますので、実際、仏様に会いに行くこともできます。勿論、関西限定書ではなく全国に通じる心の本です。 実質、私の4冊目の写真集。(読み:ワロトルホトケ)
Talking with Angels-ロンドンの天使達
「Talking with Angels-ロンドンの天使達-」 
鏡リュウジ氏の推薦文より
『天使、天使、天使!
この世界は、耳をすませれば天使の羽音に満ち満ちていて、うるさいくらい。たとえ一人でいたって、僕たちは孤独になんかなれっこないのです。この写真集はそのことを伝えてくれます。』 
 

Talking with Angels-イタリアの天使達
「Talking with Angels-イタリアの天使達」
   イタリア19世紀のみごとな墓地彫刻の写真集。
ダンテの『神曲』にならい「地獄」「煉獄」「天国」を彫刻を介し視覚で巡ることができる、美しい天使の本。
プロフィール

岩谷薫

Author:岩谷薫
カメラマン
1995 個展『身体感覚』
1998 個展『Angels of Brompton-祈りのすがた』
2005 写真集『Talking with Angelsーロンドンの天使達ー』
2006 写真集『Talking with Angelsーイタリアの天使達ー』
2008年 スピリチュアル雑誌『Sundari 』記事執筆
『yaso ヴィクトリアン』studio parabolica記事執筆
2009 デジタル印刷すらできない悪質出版社に捕まり、三冊目の天使の写真集が出版不能に。入校データまで全て完成している状態ですので、もし第三集の出版を御検討していただける出版社がございましたら、メールフォームからお気軽にメールしてみてください。第三集は最高傑作なのですが…。
2011 写真集『笑とる仏』実質、4作目の写真集。

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